これまたきのう、『大統領の陰謀ALL THE PRESIDENT'S MEN』(アメリカ、1976年)と『パララックス・ビューTHE PARALLAX VIEW』(アメリカ、1975年)をつづけて観る。見終わってから、同じ監督(アラン・J・パクラAlan J. Pakula)の作品だと気づく。なんてこった。
 前者はほんとによくできてる。なんだろう、はじめてDVDでみたせいか、90年代の映画のような完成度にみえてしまう。ダスティ・ホフマンがものすごくセクシーだ。ロバート・レッドフォードブラッド・ピットによく似てる。WPの主幹役がこれまたいい味。突き放すような終わり方もいい。スピルバークの『ミュンヘン』もあんなヒューマンなかんじじゃなくて、これくらいドライだったらよかった。例のディープスロート暴露の話は、今年映画化されるみたいなので楽しみだ。きっと『大統領の陰謀』のほうがおもしろいとおもうけど。
 後者は奇妙にバランスをかいたかんじ。ウォーレン・ビーティの芝居がまずいのか、チープな刑事ものドラマにみえる。でも映像が最高にクール。そしてパララック・ビュー社の”ヒューマン・エンジニアリング”のアイディアは、ピンチョン『重力の虹』の”ホワイト・ビジテーション”のプロジェクトと重なる。(そういや”パララックス”という言葉を知ったのも『重力の虹』だった。たんなる偶然か? ウォーターゲートに関しては『重力の虹』とも関係してて、これは偶然ではない。最後にニクソンでてくるし)。
 しかし、やっぱり70年代のパラノイアック・スリラーはおもしろい。こういう”陰謀”、”管理”、”操作”に関するセンシビリティというのは70年代に特有のものだったのだろうか?今ではだれもかれも”ガバナンス”を口にするけど。