今日のささやかなコインシデンス。午後スタバでミルズ「パワーエリート」のCEOの章を読み、帰宅しTVをつけると「麗しのサブリナ」をやっていた。アメリカ・50年代・<Board>(と書いて気づいたけど、スタバのコンセプトもこれに近いんじゃ?)。ミルズの鋭利な社会学的視線と、ワイルダーの技巧を駆使したメロドラマ。どちらにも惹きつけられる、この心と感情の振幅が心地よい…。
こないだの大気圏と引力圏のギモンに関して、なんとオタキングにしてロケットマニアの岡田斗司夫さんにメールでお答えをいただいたので掲載してみます。岡田さん、お忙しいところ本当にありがとうございました。

> ・高度何kmまで到達すれば引力圏から抜け出せるのか?
「引力圏」というのは物理的に存在しません。たとえ太陽系の果てまで飛んでも、地球の引力には引かれてしまいます。引力からの脱出は高度ではなく、速度です。秒速10キロ程度の速度が出せれば、地球の引力を振り切ることができます。
> ・大気圏と宇宙空間の境界はどこか?
境界はありません。国際法によっては高度80キロとか150キロなど、いろんな定義がされています。しかしそれらはあくまで法律上の境界で、物理的に「ここから宇宙」という境界はありません。
> ・1945年4月段階で、ロケットを無重力空間まで打ち上げることは技術的に可能だったか?
技術的にはおそらく不可能です。当時のドイツの工業レベルで、毎秒10キロの速度が出せるロケットを作るには、物資も技術者も足りなかったでしょう。米国なら可能だったかもしれませんが、米国は1945年当時、ロケットに関して後進国だったので、やはり不可能でしょう。

いやはやまるで電話こども相談室みたいw。万有引力を知らない大人がいるなんて、と岡田さんは呆れたろうなあ。お恥ずかしいかぎり。しかし宇宙空間と大気圏の物理的境界がないとあらためて考えるとびっくりするなあ。昔つきあってた女の子が、宇宙から指で突っついたら私たちに触れるのね、と言っていたことをふと思い出した。成層圏が55kmということは、中央線の東京駅から高尾駅までくらいの距離なわけで、ぼくたち生き物はずいぶん薄い膜で守られてるだけなんだな。しかし物理的な境界はなくても「空が黒くなる瞬間」というのはやっぱりあると思うのだがどうだろう。夕暮れから宵闇に変わっていくような感じなのかな。
問題は「重力の虹」の00000号が地球の重力を振り切れたかということだけど、V2ロケットの最高速度は1.5km/sだったらしいので、周回軌道に乗せるためにはこの約6倍の速度が必要。<黒の装置>がどのようなものだったとしても、さすがにこれは無理かという気がしてきた。ウーンだめか。1945年5月ペーネミュンデ基地接収後、フォン・ブラウンソ連のライバル、コロリョフV2ロケットに関して「もし射程距離をだんだんと大きくすれば最終的には地球の軌道を回りつづける人工衛星を作ることができる。もしさらに速度を40%くらい増やせれば月に行ける」と語ったらしいが、実際は4割増しどころではなかったということか。
いろいろ探してたらこんな 軌道変更シュミレーターをみつけました。きみもスラスターを駆使して、衛星を月の周回軌道にのせて見よう!