梅棹忠夫『知的生産の技術』

たけくまメモで紹介されていた本書を今ごろこっそり読了。なるほどなるほどいい本。フラーのように合理的で創造的で、ダダイストみたいにラディカルで徹底的で、教養人のユーモアがたっぷり。デューイのように人間の経験と伝達と適応の力を信頼していて、レヴィ・ストロースのように…ってもういいか。
いっろーんな面白いことが書いてあったけど、魂の記録ではなく経験の記録をつける、というのがぼくが受け取った一番のメッセージかもしれない。どういう性格のせいかわからないけど、ぼくはどうも一足飛びに本質的なことに飛びつきたがる、言いたがる傾向がある。でも学ばなければいけないのは、本質じゃなくて、その一足の手前にある方法についての工夫と知恵なのだろう。だってそういうコミュニケーションがいちばん充実してて楽しい。仕事場の配置とか段取りとか作法とかあるいは心がけとかこだわりについていろいろ聞けること。ドキュメンタリーとか見てていちばんおもしろいのもこういう部分だし。自分も工夫してみたい!というミメーシス的な本能を刺激されるコミュニケーションがいちばんエネルギーをもらえる。
しかしまずはこの乱雑な部屋をなんとかしないとなあ。整理も技術もあったもんじゃないや。はあ。
そうそう、本書155頁のひらがなタイプライターで書いた手紙が、ヤンソンやミルンやリンドグレーンのお話に出てきそうなしろもので超キュート。