本1 ニコラス・ダンバー『LTCM伝説』

 ニコラス・ダンバー『LTCM伝説』(東洋経済新報社、2001年)を読み始める。ハイルブローナーもそうだが、向こうはこういう啓蒙的読み物の面白いのが多い。日本では素人には手の出ない専門書か内容の薄いエッセイやチャート本みたいなのかに二極化してしまうが。で思いついた疑問など書き飛ばす。18世紀以降発達してきた金融市場は、本来的・長期的な経済システムの民主化ウェーバーハーバーマス的には合理化)としてとらえることができるか(カルテルコンツェルンなど経済権力の発生とはもちろん矛盾するが)。高度資本主義のサイバネティクス・テクノロジーたる金融工学が、本来「資本を無用なものだと説く」(p.3)というのはそれと関係があるか。統計のモデル(ロジャー・メキシコだ。ポワソン分布…)は、大衆社会時代に有効な行動期待の規則であり、したがってコミュニケーション・モデルとして考えることができるか…。