今日のサンプロは水どろぼうのお話。河川の水も電波と同じく公共財なんだよな。普段ありがたみを感じてないけど、暮らしのしくみの、つまり法体系の根幹にある問題だ。「今度嫁に行くなら水のたっぷりあるとこにいく」と年輩の女性が冗談めかしていってたのが印象に残る。いつものように話は中央官庁の非効率的なシステムと既得権益の批判に。これはまあそのとおりなんだろうけど、ちょっと紋切り型すぎる気もする。官庁批判してれば視聴率伸びるみたいな感じがでてくるとやだな。
19:00からTRでヤノベケンジ。「落下する未来の果実」というイメージはリルケみたいで好きだな。チェルノブイリの作品はこんどあらためてじっくり見てみたい。昨今の廃墟・地下ブームについて思いをめぐらす。
迷ったけどやっぱり19:30から「指輪物語」(ロード・オブ・ザ・リングっていまだに言い馴れないや)第一部ノーカット版をみてしまう。トロルこわすぎ!バルログよりナズグルよりサルマンよりサウロンよりウルク・ハイよりなによりもこわいよあのトロルは。子どもだったらぜったいトラウマになるよ!よかったーオトナで。サルマンとガンダルフの戦いをみて、毎日こんな戦いが繰り広げられる老人ホームあったら…と想像するとあの緊迫した場面が一挙にコントに。不謹慎だなあ・笑。アラゴルン役にたたなすぎ!…ってのはもうさんざん言われてるのかな。女王様の髪の毛もらって喜ぶギムリちょっとキモい。てのも既出ですか。ブリー村に着くまでの闇の森の話も映像化してほしかったな。だってトム・ボンバディルの食卓はおさな心に食欲刺激するお話だったからなあ!あと塚人(だったっけ?)のこわい話も見所なのに。これでみるの3回目だけど、やっぱりボロミアが逝くとこで泣きそうになる。冒頭のほうでビルボが指輪を落として旅にでるところも。やっぱり指輪物語の偉大さは、人間の弱さを(話の中ではもちろん他の種族も。エルフだってときに愚かだ)描いた叙事詩だってとこにある。テーマはその弱さとの戦いなんであってサウロンはまあ脇役だ。それが人を感動させ勇気付ける。2年前映画館で見たとき(あれTVでみたときだったかな)、子供のころから心に育んできたイメージそのままの映像に猛烈に感動し監督に拍手をおくりつつ、ちょうどサイードの「文化と帝国主義」かなんかを読んでたので、あれこれはもしかして白人のためのお話なんじゃないのか、エルフが西方の大陸に船出していくのはヨーロッパの(大英帝国の)植民地放棄と対応してるんじゃないかなんてふと思ったりした。ちょっと前に町山氏も同じこといってるのを見つけた。しかしやっぱりこういう見かたは深くみえてじつは皮相だ。エルフがヨーロッパ貴族的でその描き方がノスタルジックだってのは誰も否定しないだろうけど、指輪物語を好きな人なら、トールキンがほんとうに心を寄せて期待をこめてるのはこれからの時代の主役となる人間とホビット(足の裏に毛が生えてるのはやっぱり西欧白人ではないよねえ。暮らしぶりはたしかにイギリス式だけど。shireとかも)だってことが分かるはずだ。たとえ愚かで心の弱い種族だとしても、それに立ち向かう勇気もまたもっている。ボロミアがいうように。またガラドリエルが「もっとも小さき者が世界を救うのです」というように。
午後すこしセカールの翻訳。ひさーしぶりにスティーブ・ライヒの「18人の音楽家のための音楽」を棚からひっぱりだして聞く。きもちいー。ミニマルな感性ということについて少し思うことがあったけど、長くなったのでまた今度かこう。