tweakk2004-04-02

昨日の朝は、バイト先で目覚める最後の朝。清掃のおばさんに挨拶をし、総務のK係長にも挨拶をする。「長い間ありがとうございました」といってくれた。ほんとにほんとに長かった。そしてとてもよい修行の場だった。始めたころのキツい心境を思い出すとおもわず感傷的な気持ちになる。ここから世界を見る見かたをぼくはうしないたくない。掃きつぶした靴に感謝の言葉をつぶやいてゴミ箱にそっとおいてくる。
家で少し休んでシャワーを浴びてふたたび出発。ピカピカのシャツとネクタイで気分がいい。美容院によってから、新しい職場へ向かう。部会の途中で呼ばれて挨拶をさせられる。一癖ありそうなオヤジどもがズラーリ。うへー。部長の誘導尋問でしぶしぶハイデガーをやってましたというと、反応が抜群によい人が一人。多少予想はしてたけどやっぱり変わった人がいるなあ。その後先輩に文献の案内を受けたり、自分でゴソゴソと文房具を整理したり本を並び替えたり机を拭いたり。巣作りですな。われながら動物的なしぐさがおかしくてたまらない。そうこうしているうちに引けになり部長と叔父が飲みに連れていってくれる。場所は新橋。さっそくの典型的な事態にまいったなあという気持ち。あんまり話がはずまなかった。もっとこっちからつっこんだ質問をすればよかったのだろうが、疲れが出たのかな。帰り、スーツ着てアルコールを匂わせ中央線に乗っている自分にどーんとイヤな気持ちになる。あああダサすぎる。明日はジャージでいくぞ!と心に決める。そして今日、かなりの覚悟でジャージで乗り込んだんだけどそれほど心配はいらなかったみたい。
帰りはふと気まぐれをおこして、地下鉄を使わず歩くことにする。歩いているうちに記憶と感覚がシャッフルされどんどんいい気分になっていく。そうだこういうのがいい。また荒川修作養老天命反転地を思い出す。世界中の都市の道が交錯しているあの地図の描かれた床。かれが記憶とアイデンティティについて語ろうとしたことがよく分かる。死なないために。
日比谷公園を抜け堀端にでると感動。左手の水が豊かに張っている壕と皇居外苑ベックリンの「死者の島」みたいなロマン主義的な光景だし、右手には帝国劇場を始めとする明治・大正の新古典派的な重厚なモダニズム建築が列をなし、そしてそのむこうに再開発が進む丸の内のポストモダンな高層ビル群がのぞく。この重層都市空間。これが東京なんだよなあ、なんてあほみたいに思った。下町や郊外に魅力を感じていたしそれはこれからも変わらないと思うけど、はじめてこういうモニュメンタルな権力的空間も悪くないと思った(ここでまたファンク「新しき土」のシーンが蘇ってくる)。こないだ見た目黒の新総合庁舎なんかはひどいとおもったけど。最後に和田倉噴水公園を散歩した。ここのレストランはこんど来よう。今日はジャージで来てほんとによかったよかった。