ジョン・ル・カレの『寒い国から帰ってきたスパイ』(ハヤカワ文庫)、ブクオフでゲトして読み始めた。もしかして重力の虹のカティエとプレンティスのドラマの元ネタじゃないだろうかと踏んで。まだ3分の1くらいしか読んでないが、どうも確信が強まってくる。英国情報部、裏切りと欺瞞、転向、二重スパイの悲哀、オランダ、スフェーヘニンゲン…。スローラーナー序文で、ル・カレの名前あげてるのは剽窃の心苦しさからではないか?と疑ってしまうほどだ。

…なんてことを考えてたら、今月号の「SIGHT」にル・カレのインタヴューが。ピンチョン読んでるとこういうコインシデンスがいっぱいおこって一人で興奮する。こういうのって偉大な芸術作品の特徴かも、と思ったりする。不思議な力だ。

 とにかくル・カレのこの本は、的川泰宣の『月をめざした二人の科学者』(中公新書)とともに重力の虹のバックグラウンドを理解するのにいい、お手軽な本だ。下手な研究書や批評を読むよりよっぽどいいな。あとこれに長澤均『パスト・フューチャラマ』を加えてもいいかな。