年末年始は無性に映画が見たくなる。

ボーン・アイデンティティー

公開:2002年6月(日本2003年1月)、制作:米・ユニバーサル・ピクチャーズ、監督:ダグ・リーマン、脚本:トニー・ギルロイ、撮影:オリヴァー・ウッド、主演:マット・デイモンフランカ・ポテンテ


 レンタル期限ギリギリだった「ボーン・アイデンティティー」を、31日明け方にワイン飲みつつ見た。おもしろかった!やっぱりスパイもの、サスペンスものは楽しいなあ。2002年の作品としては筋立てが古臭い(良くいえば古典的)とおもっていたら、原作は冷戦期のスパイ小説だったのね。ロバート・ラドラムジェイソン・ボーン・トリロジー。1作目は1980年か。ボーンってbornかとずっと思っていた。「ダイ・ハード」みたいなバランスとれたいい娯楽作品だとおもった。文学的・思想的な深みや新しさはないけど(英語のwikipediaで引用されてた批評家の数少ない否定的評価として"banal"というのがあったがそのとおり。でも何が悪い)、筋は飽きさせなかったし、演出に手抜きはなく、映像もよかった。ラストシーンもぐっと来た。リーマン監督はいろいろこだわって予算オーバー、完成延期でユニバーサルと再三揉めたらしい。デイモンが監督に味方したというのもよい。好きだなこの監督。

グラン・トリノ

公開:2008年12月(日本2009年4月)、配給:米・ワーナー・ブラザーズ、監督:クリント・イーストウッド、脚本:ニック・シェンク、撮影:トム・スターン、主演:クリント・イーストウッド


 昼に鑑賞。お約束の連続だけどもたしかにうまい。70年前後くらいの映画の完成度と落ち着きを思わせる。リバタリアン頑固ジジイが中国のオバハンたちに食い物で篭絡されるとこが最高である。最後はびっくりした。泣いた。とはいえ佐藤亜紀の「グラン・トリノが本年度のベストか。確かにそうには違いないんだが、全く以って妥当そのものであり、他に選びようはないんだが、何かつまらんのお」というつぶやきには自分も賛成。それから、これが映画じゃなきゃだめだったかというとやや疑問がある。小説でもマンガでも十分にいけそうだ。ま、いいんだけど。エンドロールが流れる海辺の道路の風景がいちばん映画的には好きだったかもしれない。


追記:
 奥さんが神父にあれほど頼んでいたのは、ウォルトが苦しんでいたことを知っていたからなんだな。思い出してまたじわっときた。